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2010年11月18日 (木)

売上に係る対価の返還等

 事業者が国内において行った課税資産の譲渡等につき売上に係る対価の返還等をした場合には、その売上に係る対価の返還等をした日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額からその課税期間において行った売上に係る対価の返還等の金額に係る消費税額の合計額を控除することとされている。

 売上に係る対価の返還等とは、返品や値引により課税資産の譲渡等の税込価額の全部もしくは一部の返還又はその税込価額に係る売掛金等の全部もしくは一部の減額をいう。

 つまり、商品を売り上げて消費税を預かっていたが、その後返品を受けたり値引きをしたことによって代金の全部・一部を返したらその課税期間中に預かった消費税にはその返品に係る部分の消費税を含まないでいいよってことです。
 返品を受けたことにより代金の全額を返した場合にはその返金した金額の中に消費税が含まれているので直感的に当たり前だと理解できるでしょう。

 では、税込価額2100円の商品について100円の値引きをしたとしましょう。
 都合上、掛売上(いわゆるツケ)で売り上げたことにします。
 『この間の商品、消費税分値引きするね』って言って100円値引きしました。
 この場合、預かった100円全額をその課税期間中に預かった消費税の合計から控除できるでしょうか?
 答えはNOです。
 消費税法上は100円の値引きは消費税と本体両方に対して行ったものとみなされるため、100円に含まれている消費税部分はその課税期間中に預かった消費税の合計額から控除することができます。
 同じく『この間の商品の本体部分100円値引きするね』って言って値引きした場合に預かった消費税の全額を控除できないかというと、本体部分だけから100円値引きされたわけではなく本体と消費税全体から100円値引きされたと取り扱うので、100円に含まれる消費税部分を控除することができることになります。
 
 税込で売っているのであるから、値引きも税込で値引きしたと考えればいいでしょうか。
 よって消費税が含まれていない売上について値引きを行ってもその課税期間中に預かった消費税額の合計から控除できる消費税はないこととなります。
 消費税が含まれていない売上というのは、例えば有価証券を譲渡した場合等の非課税となる売上や、免税事業者が行う売上が該当します。


 さて、説明の都合上と言って掛売上(ツケ)にしてもらいましたが、なぜ掛け売上にする必要があったのか説明させていただきます。
 消費税の課税標準は課税資産の譲渡等の対価の額とされています。
 対価の額とは対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭、金銭以外のもの若しくは権利その他経済的利益を含むものとされています。
 先ほどの説明において掛け売上をした後の値引きではなくその場で値引きを行った場合はどうなるでしょうか?
 210円の商品を10円値引きして200円にしますって言って200円の代金をもらったとしましょう。
 この場合に収受した金銭は200円ですので、課税標準は200円ということになります。
 つまり、その場の値引きの場合には210円を課税標準、10円を売り上げに係る対価の返還等をした金額という風にはしないのです。

 掛け売上でも売上時にあらかじめ210円だけど200円でいいよって言って値引き販売したとすれば代金の収受は後日ですが収受すべき金額は200円ですので同じく課税標準200円で終わりです。
 そして、掛けじゃなくてその場での現金払い売上をした場合であっても、後日あの日の分値引きするねって言って返金するようなケースでは売上に係る対価の返還等に該当することになるんです。
 あれ、掛け売上を例にする必要性があったんでしょうか・・・(●´ω`●)ゞ

2010年11月 8日 (月)

弁当の有償支給に係る消費税

 福利厚生費として処理されるものについて、消費税の取扱いを考えてみましょう。
 福利厚生の一環として、昼食や残業をしている者に対して夜食を提供する会社があるとします。

  ①社員食堂で無償で食事を提供する
  ②社員食堂で有償で食事を提供する
  ③食事代の全部を会社が負担する
  ④食事代の一部を会社が負担する
  ⑤弁当を無償で支給する
  ⑥弁当を有償で支給する
  ⑦食事代を手当てとして現金で支給する
 
 ①の場合、社員に対して無償で食事を提供しているため、消費税の課税の対象にはなりません。
 また、食事提供のために要した費用の額は課税仕入れに該当する部分について仕入税額控除の適用があり、個別対応方式により計算する場合には課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れ等とされます。

 ②の場合、有償で食事を提供しているので消費税の課税の対象となりその対価が4%課税売上となります。
 また、食事提供のために要した費用の額は課税仕入れに該当する部分について仕入税額控除の適用があり、個別対応方式により計算する場合には課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ等とされます。

 ③④の場合、社員の食事代のうち会社が負担した部分について仕入税額控除の適用とうけることができます。会社が一部だけを負担した場合にはその負担した部分にのみ適用があることになります。
 社員が食事代を支払い、後日会社が現金で支給するなどする場合には給与とされる場合があるため仮払精算をするなどの工夫をしておくとよいでしょう。

 ⑤の場合、社員に対して無償で弁当を支給しているため、消費税の課税の対象にはなりません。
 また、弁当の購入費用は課税仕入れに該当するため仕入税額控除の適用があり、個別対応方式により計算する場合には課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れ等とされます。

 ⑥の場合、有償で弁当を支給しているため、消費税の課税の対象となりその対価が4%課税売上となります。
 また、弁当の購入費用は課税仕入れに該当するため仕入税額控除の適用があり、個別対応方式により計算する場合には課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ等とされます。

 ⑦の場合、仕入税額控除の適用はありません。

 給与を対価とする役務の提供については消費税の仕入税額控除の適用がないこととなりますが、その給付が給与として所得税の課税対象になるかどうかは消費税の仕入税額控除の適用の有無には関係がありません。
 たとえ、所得税法において給与とみなされて課税される弁当の支給であっても、消費税法上は弁当を購入した時点で仕入税額控除の適用を受けることができます。
 例えば、給料30万円ですが実際に25万円を現金・5万円相当部分は弁当の支給によることとしている場合、25万円は仕入税額控除の適用はありませんが5万円部分について仕入税額控除の適用があります
 ⑦の場合、通勤手当以外の手当ては原則として給与等を対価とする役務の提供に対する支払いであるとされ仕入税額控除の適用を受けることができません。

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